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「じゃあ……マクセル家の使用人の方達は想像するよりもずっと強いって事か?」
ミルシアが眼鏡の位置を直しながら、俺に尋ねてくる。
俺はその言葉に頷き、口を開いた。
「あそこの使用人は異常ですよ~
正直な話俺も喧嘩売らなければ良かったと思ったし」
「何故喧嘩を売ったのかは置いておくが、とりあえず負ける訳にはいかないんだ」
ミルシアがゆっくりと構えなおす。
俺はそんなミルシアに満面の笑みを作り言う。
「メイド服に猫耳と尻尾を着けて貰うのも良いですね~」
「だ~れ~が~着けるか!!」
そう叫びながらミルシアは俺との距離を詰めてきた。
薙ぎ払う様に振るう剣を俺はグニャグニャと揺れながら少し後ろに下がりかわす。
その時ミルシアは咄嗟に振るっている最中に剣を片手に持ち替え、俺の右手を空いている手……ミルシアの右手が俺の右腕を掴んだ。
「捕まえた!」
そうミルシアが言った所で俺はニヤとした笑みを顔に貼り付けて言う。
「残念ながら捕まえたのは俺の方」
「え?」
俺はそう言ったと同時に体を揺らす事により出来た『波』を一瞬増幅させて、一気に掴まれた自分の斜め後ろへと振り抜く。
するとミルシアはまるで糸で引っ張られたかの様に、俺の斜め後ろへとうつ伏せに倒れこんだ。
「あ、あれ?」
ミルシアに視線を向けると何が起きたのか分からないのか、うつ伏せに倒れたままキョトンとした表情をしていた。
「どうしたんだ?」
「ミルシアの奴躓いたのか?」
「チャンスだったのに……」
周りからはそんな声があがる。
傍から見たら多分ミルシアが躓いたのか、俺の斜め後ろへと倒れ込んだ様に見える。
だけど本人は何故?どうして?という疑問で満ち溢れてるはずだ。
俺も最初これをやられた時、驚いたからな~とそんな事を思いながら、未だにうつ伏せに倒れているミルシアへと視線を戻した。
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