私の中のアイツ

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風見 隼人。 野球部エース。 甲子園を目指す高校二年生。 その容姿と、全身にみなぎる爽やかさから 女子の憧れ的存在。 ガラガラッ、 勢いよく二組のドアが開けられた。 「おうっ! 今日、どうする?」 風見くん! 相変わらずの爽やかな笑顔で、 ドアから風見くんが飛び込んでくる。 風見くんは隣の一組。 「風見くんだよ!」 他愛のない無駄話に夢中だった女子のほとんどが、風見くんにハートの視線を向ける。 「図書室行こうと思ってる。」 答えたのは、佐々木洋介。 常に学年トップの自他共に認める秀才。 気が付けば、いつも本を読んでいるか、 問題集を解いている。 教室にいない時は、 たいてい図書室かトイレ。 だから当然、 風見くんの様な爽やかさは皆無だが、 清楚な顔立ちに黒淵メガネがやけに似合っている。 私はこの二人とは 出身中学が違うからよく知らないけど、 二人は中学時代も仲が良かった様だ。 「そっか、俺はこれから部活だから、 終わったら一緒に帰ろうぜ。」 「ああ。」 佐々木の愛想の無い返事を確認すると 風見くんは背をむけ、二組を後にした。 この間、女子の熱い視線をもろともしない感じが、またまた女子の好感度を上げている。 女子はすでに姿のない出入り口を見つめ、風見くんが今そこに居たという余韻に浸っていた。 その中で私は一人、 佐々木洋介を見つめていた。
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