君の隣で

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「笹山さーん。」 えっ!? 「笹山 未可子さーん。」 聡子と美里の足が止まり、 私の足も止まる。 「未可子の事じゃない?」 三人で同時に振り向き、 叫び声の主を確かめたところで 一斉に向き直り、 むしろ、さっきよりも速足になる。 だって…… 「笹山 未可子さーん。」 叫び声は更に大きくなり、 しかも近づいて来る。 「ちょっと、無視はまずいんじゃない?」 「そうだよ。未可子行きなよ。」 聡子も美里も無責任な…… だって声の主は、 校内一の悪で有名な赤城先輩。 どう考えても、超がつく程真正面な私との接点は無いはず。 だとしたら、考えられるのは…… 呼び出し!? 『てめぇ、真正面過ぎんだよ。きちんと規則なんか守りやがって!!』 ま、まさかね…… 「ちょっと!」 声に追いつかれて肩を掴まれる。 「笹山 未可子さんてどの子?」 聡子と美里が無言で私を指さす。 私は、無言で手を挙げる。 「ふぅーん。」 な、何? 赤城先輩は私を一度足元まで見下ろすと、再び顔まで見上げた。 「木下があんたの事、好きだって。」 木下って、赤城先輩といつも一緒にいる あの木下先輩? 「あの、えっと、」 無理、絶対無理。 「大丈夫、返事はいいよ。断っとくから。」 「えっ?」 「それより俺と付き合お。」 もっと無理!! 「あっ、あの、その、」 「返事はいいよ。 俺、返事は気にし無い方だから。」 ん!? 「とりあえず今日中に彼女とは別れとくから、正式には明日から付き合うって事で。」 えっと、話しの展開に まるで着いて行け無いんですけど。 「じゃあ、明日っ!」 そんな爽やかに締めくくられても…… 赤城ワールドの幕開けだった。
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