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「ハァ、終わったね、テスト。」
「帰り、パフェでも食べてく?」
「あっ、でも未可子は赤城先輩いるか。」
そんなぁー。
「行くよぉ、私もパフェ。」
「じゃあ、俺も行こうかな。」
「うん、皆で……って赤城先輩っ!」
いつの間に、
「いえ、私たちは、」
「ど、どうぞお二人で。」
「ちょっと、」
裏切り者めェ。
聡子も美里も足早に教室を飛び出して行く。
でも、赤城先輩がそんな事気にする訳も無く、
「俺、ちょっと担任に呼ばれてるから
3Bの教室で待ってて。」
完全にペースに呑まれてる。
3Bの教室で適当な席に座りながら
何度もため息をもらしてしまう。
カタン
物音に、赤城先輩かと思い顔を上げると、目の前にはなんと相模先輩!
しかも私の前に立ち、
視線を逸らすこと無く私を見下ろしている。
「確か、笹山 未可子……ちゃんだったよね。」
覚えてくれてるんだ。
てか、忘れてくれてもいんだけど。
いや、忘れて下さい。
「そこ、俺の席。」
「ええっ、ゴメンなさい。」
慌てて席を立ち上がろうとしてバランスを崩し、よろけそうになった私の腕を素早く相模先輩に引き寄せられる。
「す、すみません。」
「そう言えば君、木下の事断って
赤城と付き合ってるんだってね。」
「違います。」
ん!? 違わ無い? いや、違う?
だって木下先輩の事断ったのは赤城先輩だし、赤城先輩にOKした覚えも無いし、
でも家には行っちゃったけど、
あれは、成り行きと言うか……
「なんだ、付き合って無いんだ。」
「その辺は、何と言うか、」
「君さえ良ければ、今ならOKだよ。」
……嘘っ!?
頭がパニック。
『ごめん、君の事良く知らないし、
受験勉強もあるから。』
そう言われたのはほんの三ヶ月前の事。
中学の頃からずっと憧れてた。
高校になったら想いを伝えようって決めてた。
その想いをやっと断ち切った所なのに、
……今ならって、
ガタン
「赤城先輩!」
「悪いけど、今は俺なんだよね。」
私の頭を優しく撫でてくれた
赤城先輩の目では無かった。
「そうやっていつもお前は、
俺から大切なものを奪って行くんだよな。」
憧れ続けた相模先輩の目でも無かった。
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