君の隣で

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赤城先輩が必要以上に私に関わって来る事は無くなった。 でも学校ですれ違う時は必ずいつも 笑顔で『ようっ!』と声をかけて来た。 そのつど私は、無言で頭を下げた。 ------10日以内に…… そしてその度、この言葉が頭をよぎった。 しかし赤城先輩からは、それを実行しようとしている様子は伺え無かった。 私はまだ心の片隅で、赤城先輩を信じたいと思っているのだろうか? ただ遊びに飽きただけなのかも知れないのに。 私は、どうしてもそれを確かめたくなっていた。 「未可子!?」 そう思ったら、赤城先輩の家を訪ねていた。 今日がその10日目だったから。 「アップルジュース、また一緒に飲みたくて。」 「アハハ。」 いつもと変わらない笑顔。 机の上に難しそうな参考書に混じって、 医学書が広げてあった。 「赤城先輩、医者にでもなるんですか?」 相模先輩の話しは、本当なのかも知れない。 「どうかな? 未可子は、将来なりたいものでもある?」 「私は、私は平凡で良いです。」 「平凡って?」 「平凡は、平凡です。」 「お嫁さんとか?」 ドキッ なに私、ドキドキなんてしてるんだろ。 誤解されちゃうじゃない。 「もしかして当たった?」 「そんな意味じゃ……ご、誤解しないで下さい!」 何言ってるんだ私。 これじゃ、告白してるみたいじゃない。 「だから、えっと、」 「ハハッ、誤解なんてして無いよ。 未可子は相模が好きなんだろ? 分かってるよ。」 「分かって無い!!」 「えっ?」 なんで私ムキになってるの? でも、なんかイライラする。 この感情は何? 「やっぱり最初から遊びだったんですね。」 私、赤城先輩の事、好きになってる? 「じゃあ、本気になっても良いの?」 赤城先輩の目がいつになく真剣になっている。 「本気には、本気で応えて貰うよ。」 「えっ?」 「未可子から来たんだよ、俺のところに。 そう言う意味でとっても良いって事?」 私、大変な事しちゃってる? ただ確かめたかったなんて、 そんな軽い気持ちで来たら ダメだったのかも。 今まで赤城先輩のペースに呑まれてるって思ってたけど、赤城先輩はちゃんと 私の気持ちに寄り添ってくれてたんだ。 赤城先輩の手が、私に延びて来る。 …… どうしよう。 ……『恐いよ。』 声にならない声で、 何度も心の中で叫び続けていた。
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