第一話『“二つ”の招待状』

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中橋学園は元々進学校として有名だった女子校。 今では共学となっているが、女子校だった名残からか女子の方が圧倒的に多い。 入学してくる生徒の多くは大学進学を希望しており、運動部よりも文化部の方が生徒の割合が多い傾向がある。 そんな中で設立された野球部は、最初からそれを目的としていた四人――真琴、晶、千穂、ミチル――以外は寄せ集めなのだ。 奇跡的にも野球経験者がチームを組める人数集まり、チームとなり、大会に出てみたら優勝だ。 特待生を筆頭とした、最初から野球をやるつもりの生徒で構成された強豪校から見れば、 『偶然でこんな良いチームが作れてたまるか!』 と叱られそうだ。 (このメンバーが集まっただけでも奇跡なのに、これ以上のメンバー補充を願うのは流石に無理だよね) となるとエース真琴が毎試合完投することが条件となるのだが、スタミナのペース配分に課題がある真琴では不安しか残らない。 いっそのこと、決勝戦で戦った横渕第二女子に倣って、投手と野手を兼用する選手を増やすか。 いや、あれはあのチームの中心にいるのが瀬名のかつてのチームメイトにして従姉妹である“アノ”神谷琴奈だったから可能だった戦略だ。 「そういえば、琴奈の怪我の回復は順調かな?」
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