2923人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
「急遽、台本を差し替えるか……えぇい、ミーティングだ! スタッフを全員呼――」
その時。
芦屋の目に何かがとまった。
撮影現場を通り過ぎようとしていた、近隣の高校制服を着た女子の姿。
彼女をみた瞬間、芦屋の中で電流のようなものが走る。
「――きっ、ききききき……
君だぁああああああッッ!!」
思わず走り出し、芦屋は彼女の前に立ち塞がる。
「――え? え? え?!」
動揺を隠せない女子高生。それもそうだろう、いきなり知らない男性に接近されれば、普通驚く。相当驚く。
ぐるぐると彼女の周囲を回ってみながら、大きく頷いてみせる芦屋。1分ほどそんな事を続け、そして彼女の手を握る。
「君だ! 君しかいないっ!」
「ななな、なんなんですか?! け、警察呼びますよっ?」
後ずさりながら怯えた表情をみせる彼女。芦屋は「これは失礼」と告げた後、懐から名刺を取り出す。
「僕は撮影監督の芦屋という者だけどね。君にお願いがあるんだ」
「さ、撮影監督……さん? そんな人が私に何の用ですか……?」
「今ちょっとトラブルが起こってしまって、主演の女優が現場にやってこれないんだ……よかったら、君が代役を務めてくれないかな?!」
「だ、代役? それって……」
「そう。君がテレビに出るんだ」
「はぁ……テレビに…………
って、えぇえええええええええええッッッ?!!!!」
突然の依頼を受け、たまたま通りかかっただけの女子高生――【如月 未夜】は、驚きの声をあげた。
最初のコメントを投稿しよう!