『恋愛慕情』編

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「急遽、台本を差し替えるか……えぇい、ミーティングだ! スタッフを全員呼――」 その時。 芦屋の目に何かがとまった。 撮影現場を通り過ぎようとしていた、近隣の高校制服を着た女子の姿。 彼女をみた瞬間、芦屋の中で電流のようなものが走る。 「――きっ、ききききき…… 君だぁああああああッッ!!」 思わず走り出し、芦屋は彼女の前に立ち塞がる。 「――え? え? え?!」 動揺を隠せない女子高生。それもそうだろう、いきなり知らない男性に接近されれば、普通驚く。相当驚く。 ぐるぐると彼女の周囲を回ってみながら、大きく頷いてみせる芦屋。1分ほどそんな事を続け、そして彼女の手を握る。 「君だ! 君しかいないっ!」 「ななな、なんなんですか?! け、警察呼びますよっ?」 後ずさりながら怯えた表情をみせる彼女。芦屋は「これは失礼」と告げた後、懐から名刺を取り出す。 「僕は撮影監督の芦屋という者だけどね。君にお願いがあるんだ」 「さ、撮影監督……さん? そんな人が私に何の用ですか……?」 「今ちょっとトラブルが起こってしまって、主演の女優が現場にやってこれないんだ……よかったら、君が代役を務めてくれないかな?!」 「だ、代役? それって……」 「そう。君がテレビに出るんだ」 「はぁ……テレビに………… って、えぇえええええええええええッッッ?!!!!」 突然の依頼を受け、たまたま通りかかっただけの女子高生――【如月 未夜】は、驚きの声をあげた。
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