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隣で少女が笑う。
サラサラの金髪をなびかせた幼い顔立ちのその少女は、俺が覚えている通りの少女であった。
今は向けられることなどない、願っても見ることは叶わない満面の微笑みを浮かべた少女は、俺に話しかけてくる。
「ねぇアレン君、パパたち、楽しそうに何をお話してるのかな?」
太陽の光を受け、緑に輝くフカフカの芝生に腰掛けながら、口を開いた少女は、少し離れたテラスで話をしている二人を指差しながらそう言った。
テラスに腰掛ける俺たちの父親たちは、笑いあいながら話をしていた。
――ああ、この日か。
俺が忘れることはないだろう、幸福に満ちた一日。
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