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「次の魔法学、前回はどこまで進みましたっけ?」
次の授業の準備を進めるミーナに聞いてみる。真面目な彼女のことだ、すぐに思い出してくれるだろう。……俺だって教科書を見れば思い出せるはずだ。別に前回の授業を聞いていなかったわけではない。
「まだ復習段階ですね。前回は基本的なことを話されてだけでした。今回もあまり内容に進展は望めなさそうです」
残念そうに言うミーナ。
事前にかなり進んだところまで勉強を終わらせている彼女。そんな状況でも授業をいつも真剣に聞いている彼女でも、基本の基本を繰り返されるのはさすがに勘弁してほしいようだった。
「ふむ。それなら説明を求められても問題はなさそうですね。ミーナには悪いですが、ありがたいことです」
そういうと、ふふっと静かに笑いながら口を開くミーナ。目線から読み取るに、どうにも俺を非難しているようだった。
「何を言うかと思えば。学生への問いでアレン様が答えられないことなどほとんどないのでは? そんなことを言ってると、他の人はどうなります」
なんだ、そんなことか。確かにある程度のことなら答えるだろう。……魔法学なら特に。幼い頃は、知らないことを知るのが楽しくて勉強をよくやった。成長してからは、さらに必死になった。
そして、現実を知った。
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