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「――さて、次に魔術についてだが……」
去年、すでに学習した内容を淡々と話す教師を尻目に、周りの数人は船を漕いでいる。俺はというと、さすがに二限連続で寝るわけにもいかず、退屈な授業に耳を傾ける。隣では、ミーナが羊皮紙に重要な事柄を書き込んでいる。復習だろうに、まったく、真面目な子だ。
俺もミーナ達も、家柄のせいか、幼い頃から勉強させられていた。させられていた、といっても、俺の場合は好き好んで勉強していたが。させられていたのはシーラだけか。俺が勉強して、その内容をシーラに話し、シーラが試して……。
……なんだろう、今日は。
なんで今日は、こんなにも――。
「では、この問題はアレン=アーガスト、あなた、答えてもらえる?」
さっきの授業で寝ていたためか、はたまた、今、考え事をしてボーっとしていたためか、ありがたいことに、問題に対する解答権を頂いた。仕方がない。自業自得か。
答えるというのは、前の黒板に答えを書け、ということらしい。黒板には、ミミズが這ったかのように文字が書かれている。
この文字列を理解し、自分の中で形として創造することで、魔術は使える『らしい』。
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