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ふぅー…と息を吹く。
一斉にロウソクが消えた。
真っ暗になった後、パッと明かりが点く。
何だか、さっきからドキドキが止まらない。
でも、何のドキドキなのか分からない。
驚き?それとも…
緊張する。
それを悟られたくなくて何となく外を眺めていると、ガラス越しに水澤君の姿が映った。
――――ドキンッ
心臓が跳ね上がる。
私を……見て…る……?
さっきまでの、少しおちゃらけた感じの表情は微塵もない。
男の人の表情をしている。
心を見透かすような、射抜くような、そんな瞳。
……どう、しよう。
ドキドキドキドキ。
さっきよりも益々早鐘のように鳴り響く鼓動。
これ以上、真っ直ぐ彼を見ることが出来ず俯いたまま身動きが取れなくなる。
「さっ!切ろっか?」
声が聞こえ振り向くと、あの八重歯が見える、いつもの雰囲気の笑顔がそこにはあった。
あれ――?
さっきの私を見てた一瞬の表情………
――――気のせい?
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