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――… 思い返すと、全てはあの目を開けた瞬間から僕の人生は既に変わっていたのかもしれない…
パチッと重たい瞼を開けた僕の視界には白い天井、白いベッド。薬品の臭いに真っ白な部屋、
そう、僕が目を覚ましたのは病院のベッドだった‥
『クリフェイド』という自分の名前以外、何も覚えていない僕。そんな僕目の前に立つ男の人は憮然とした表情の金髪美形。
だけど、僕が起きたことを知るといきなり肩を力強く掴まれる。痛い… この男は力の加減も知らないのだろうか…
それとも、僕に喧嘩を売っているのか… どちらにしても今の僕は何にもする気になれない。何せ、まったく力も動く気力も湧かないのだ。何もかも怠く感じて…
まだ何処か夢現(ユメウツツ)な僕はまともに思考が働かない。だから何も覚えていないにも関わらず、見知らぬ人に警戒すらしなかった。
しばらくして、僕を抱きしめる男の人よりもさらに若い男の人が二人と白衣を着た男がやってきた。
『目が覚めてよかった。クリフェイド君、何処か痛むところとかはないかい?』
白衣の男が僕に訊くが僕は声を発する気力さえなく、首を横に振る‥
『そうか。何か口にするかい?』
という問い掛けに僕はまた横に首を振ると視線を外して、窓から見える外に目を移した。
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