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――…そして、退院してからが大変だった。
退院し、大きな屋敷に連れて来られた僕は父さんに僕、専属の執事を紹介してもらった。
黒い燕尾服(エンビ フク)を綺麗に着こなし、上品な笑みで優雅に会釈する彼の名前は、一条 昴(イチジョウ スバル)。
歳は見た目通りの若さで20代前半、綺麗に整えられた肩に届くか届かないか、程よい長さの黒い髪。本人いわく、日本人だそうだ。
昴自身は僕の"母"に雇われたと言っていたが、それも本当か嘘かと言われれば嘘に入るだろう。だが、そこまでして皆が僕に嘘をつく理由が理解し難い。一体、その"母"という人は何なんだろうか…
もはや、ここまで来ると"母"という人が本当に僕の"母"だったのか疑問さえ生じる。
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