仮面

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午後9時 すでに日も落ち 肌寒くなってきた 5月の夜。 ボクの名前は 白凪 優樹(シラナギ ユキ)。 至って普通の高校一年生で 至って普通に塾の帰りだ。 今日もいつも通りの 時間帯に変わらない 帰宅路をトボトボと 歩いているハズだった。 でも今日のボクは走っていた。 「ハア…ハア…ハア…」 ボクは必死に逃げているのだ。 何からかというと 身長180cmくらいの ガッチリしている男性。 上下を黒いスーツで キメてはいるが 手に所持しているのは 仕事用の鞄ではなく 鉄パイプだった。 そう…ドコからどう見ても この男は通り魔だ。 残念ながら今いる道は 人の住んでいる道から 若干離れている いわゆる裏道で 助けはほとんど望めない。 (最悪だ… 新聞で見た記事は 本当だったんだ… それにしても何で ボクなんだよっ!?) ボクは心の中でそう叫んで 必死に閑散とした街中を 逃げ回っていた。 (そっ…そうだ… あそこに逃げ込もう!) ボクは暫く走って 小さな工場の様な 場所へと逃げ込んだ。
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