接触─コンタクト─

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「今回は外壁を取り囲む警報機を刺激して、視線を外に向けたからな。外へ逃げたと錯覚した警官や警備員達が真っ先に通りすぎるのは・・・この隣室だ。首尾よくやってくれて助かったよ、豪」 「俺の足と運動神経にかなう奴なんかいるかっつーの。警報機ならして帰ってくるなんて朝飯前だ。立場が立場ならオリンピックで金メダルだぞ」 「うわ。悪い顔だなあ。お前はその悪人顔で予選落ちだ」 「なんだと」 「ちょっと!私のことも褒めてよ!笙」 冗談とも着かないやりとりを止めて、絵美花が子どものようにふくれて見せた。 はいはい、と相づちを打って、笙は笑った。 「よくやったよ絵美花。まさか『怪しい人影が逃げた!』って飛び込んできた警備員が怪盗だったとは、あいつらも思わなかっただろう」
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