トリプル☆ロワイヤル

【プロローグ】

　ニューヨーク、午前５時半。

　セントラルパークの一部が見える２４時間営業のコーヒーショップ。

　その片隅のボックス席で眼鏡を掛けた男が１人、新聞を読んでいた。

　彼の前には大きなマグカップになみなみと注がれた熱い珈琲。
まだ手をつけた形跡はない。

　男が新聞をめくったちょうどその時、コーヒーショップのドアが開き、首からタオルをぶら下げた汗だくの男が入って来た。

　眼鏡の男は軽く手を上げ、そのガタイの良い男に合図を送る。

「よぉ、ジェイク！　相変わらず早いな！」

　タオルで汗を拭いながらガタイの良い男はジェイクと言う男に元気よく話しかけた。

　トレードマークともいえる黒のタンクトップを着てむき出しになっているその右肩には、古い銃創の跡が見える。