【プロローグ】

4/6
前へ
/51ページ
次へ
「ここじゃ24時間地下鉄が走ってるの、お前忘れたわけじゃないよな?」  思わず問いかけたジェイクにロイはサラッと返した。 「昨日までロスで仕事してたもんでな、時差ボケとストレス、両方の解消だ。いくら給料が良いからって有名ハリウッドスターの護衛なんか引き受けるんじゃなかったぜ。退屈でしょうがなかった」  ……確かにロイならそう言うだろう。  普段は要人警護がメインだから、いつどこで命を狙われているか判らないという緊迫感がある。  だがスターの周りに集まって来るのはミーハーなファンが殆どであろう事は容易に想像がつく。 「でもなぁ、顧客のファン様様だから、そうそう足蹴にするわけにゃーいかねーし……。俺には優しく気を遣う仕事は向いてねーってよくわかったよ」 『今頃気づいたのかよ……』  ジェイクは心の中で毒づきながら、飲み頃に冷めて来た珈琲に口をつけた。  
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加