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「ここじゃ24時間地下鉄が走ってるの、お前忘れたわけじゃないよな?」
思わず問いかけたジェイクにロイはサラッと返した。
「昨日までロスで仕事してたもんでな、時差ボケとストレス、両方の解消だ。いくら給料が良いからって有名ハリウッドスターの護衛なんか引き受けるんじゃなかったぜ。退屈でしょうがなかった」
……確かにロイならそう言うだろう。
普段は要人警護がメインだから、いつどこで命を狙われているか判らないという緊迫感がある。
だがスターの周りに集まって来るのはミーハーなファンが殆どであろう事は容易に想像がつく。
「でもなぁ、顧客のファン様様だから、そうそう足蹴にするわけにゃーいかねーし……。俺には優しく気を遣う仕事は向いてねーってよくわかったよ」
『今頃気づいたのかよ……』
ジェイクは心の中で毒づきながら、飲み頃に冷めて来た珈琲に口をつけた。
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