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「俺だって別仕事の時は外に出てるの知ってるだろう? 2足のわらじ履いてんのはこの中で俺だけじゃないか」
ジェイクはそう反論したが、アニスは目の前でチッチッチッと指を横に振るとこう言い放った。
「私たちは全員2足のわらじ。貴方が勝手に3足目を履いてるだけじゃない。しかも昨夜寝てないんでしょ? 勝手に履いた3足目のせいで」
……アニスの言った事が図星だったので、ジェイクは二の句が継げなかった。
アニスのオーダーした食べ物が運ばれて来たのをきっかけに、3人の間の空気がスッと変わる。
各自周りに余計な気配がないか確認し、カウンターの中のウェイトレス2人と、入口に近い席に陣取っている初老の男性しかいない事確かめた。
男性は常連なのか、ウェイトレスの1人と世間話をしている。
「……じゃ、一般人が動き出す前に今回の“お仕事”の話、始めちゃおうかしら?」
アニスがそう言うと男2人もテーブルの上に身を乗り出して話を聞く態勢に入った。
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