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お腹空いた、と呑気なことを考えながら、今のうちにもう一度原稿に目を通しておこうとクリアファイルを手に取る。
中身を取り出したわたしは、「あれ」と呟いた。
クリアファイルに、4枚の用紙が入っている。
――昨日先生から受け取ったときは確かに3枚だったのに……。
4枚目の原稿には心当たりがなかった。
見ると、右上に赤ペンで『追加』の文字が書き込まれている。
「誰かが追加したのかな…」
わたしはその原稿に目を通した。
文章の内容からみると、明らかに男の人からの投稿だ。
少し強引すぎるくらいの男らしいメッセージが綴られている。
――もしかして、追加したの、田辺くんかな。
ブースの外に目をやると、中央のテーブルに彼の大きな体が見えた。
一人、黙々とお弁当を食べている。
水曜日担当の田辺くんは、主に男子生徒の恋愛相談を受けていた。
『恋パラ』では、自分の担当した相談の「その後」や「途中経過」などについてほかの担当者に代理で原稿を読むように依頼することが珍しくない。
例えば、水曜日の放送で告白をして金曜日にOKをもらった、などという場合には、わたしが代わりに結果を報告し、おめでとうを言ったりする。
今回もその類いかもしれない。
――この時、わたしはそんな風に軽く考えていた。
初見の追加原稿を声に出して練習したりしているうちに、曲が終盤に差し掛かる。
曲終りに再度曲名を紹介して、――いよいよ恋愛相談の始まりだ。
わたしは一瞬だけ目を閉じ、気持ちを集中させた。
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