月の満ちる晩

2/5
前へ
/20ページ
次へ
ひらり、 金色の髪をなびかせる「それ」が高い鉄柵の向こうから軽やかに舞い降りてきたとき、ルカは純粋な感動を覚えた。 なんて、美しいんだろう。 猫を思わせるしなやかな動きで着地した「それ」は、こちらを振り向くや否や、手を伸ばしてきた。 その手には、黒光りする拳銃。 「ーへ?」 口をついて出たのは、恐怖の叫びでも、命乞いの言葉でもなく、間の抜けた疑問符だった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加