月の満ちる晩

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尤も、どう見ても場違いなその声は、鉄柵の向こうの叫び声に打ち消されてしまったのだが。 「いたぞ、塀の外だ!侵入者を発見!総数は二名!武装している模様。総員、屋敷から二時の方角へ集合せよ!」 警備服を来た男性が数名、こちらを睨み付けながら走ってくる。 手には拳銃。何故か銃口はこちらを向いている。 何やらただ事ではない雰囲気を感じ取るも、銃口を、それもいくつも同時に向けられていては身動きも取れない。 ―死ぬのかな?それとも、捕まる? 非現実的な状況にも関わらず冷静に思考しているのは、逆に混乱を極めている証拠かもしれない。 何も悪いことをした覚えはないが、鉛玉で撃ち抜かれるよりは降伏するのが得策と、両手を挙げようとした刹那、金色の髪の女がルカの腕を掴んだ。
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