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「来て。走るわよ!」
「走るって…うぉっ!」
華奢な腕からは想像もつかない程の力で引っ張られ、バランスを崩した勢いで駆け出した。
ルカは平均的な男性よりは高めの身体能力をもっているつもりだが、女の脚力はそれを超えていた。
女が出てきた―という表現が適切かはわからないが、ともかく―屋敷から離れて細い路地を抜けると、ブルーのバイクが一台停まっていた。
女はそれに跨り、フルフェイスのヘルメットを押し付けてくる。
「かぶって、そしてきちんとつかまってて。早く!」
「へ?なんで、つぅか、アンタ―」
「死にたいの?急ぎなさい!」
そう言って再び拳銃を向けられてしまえば、ルカに抵抗の余地はない。
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