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―サイド@DJ―
いつも通りの仕事のメール。
だがその写真を見て、すぐにピンと来た。
忘れるわけはない。俺の、因縁の始まりだから。
俺はすぐにある人物に電話をかける。
携帯を持つ手が、震えてるような気がした。
俺はそんな自分に気付き、自嘲する。
なにを焦っているんだ、俺は。
いつもよりゆっくり鳴っている気がするコール音に、逸る気持ちを落ち着ける。
相手はきっかり12コール目で出た。
普通なら切ってるだろう。
「俺だ。
すぐに調べて欲しいことがある。」
単刀直入にそう言うと相手は笑った。
「なんだ?」
「いや、このタイミングの良さに笑ったのさ。」
タイミング。
俺はコーヒーの乗った机をトントンと指で叩いた。
茶色い水面が控えめに揺れる。
「なんのことだ?」
「こっちの話だ。」
俺が訝しげに聞くと、にべもなく返された。
毎度のことながら、どうも掴めない男だと思う。
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