プロローグ

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「いつもので。」 俺は常連らしくカウンターに座り、ベッキーに頼んだ。 ベッキーはうんともすんとも言わない。 そこがいい。 彼女が俺のドリンクを作ってる手つきを眺めながら、俺は温かい気持ちになる。 「今日はどんな日だったの?」 俺は返事がないと知りつつ話しかけた。 彼女の返事がないのは聞いてないんじゃない。 話したくないんだ。 たまに気紛れで答えるとこが、可愛くてどうしようもなく好きだ。 ベッキーが手を止めた。 俺を睨む。 「女が来た。」 予想外に早く来た返事に戸惑う。 「女?」 「ビッチ。」 彼女は吐き捨てるように言った。 その強い言葉に俺ははっとした。 「なんか…ひどいこと言われたのか?」 こんな愛おしいベッキーに何を言ったのだ。 許せない。 普段無視してる俺にまで話すなんてよっぽど傷ついているだろう。 俺は無意識に自慢の拳に力を入れる。
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