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だが、そんな俺の気持ちを、ベッキーの一言が打ち砕いた。
「あんたのことを聞いてきた。」
今度は殺意さえこもってそうな目で睨んでくる。
俺は予想外すぎて反応出来ずにポカンとした。
「お…俺!?」
「アレックスはどこに住んでるかって聞いてきた。」
彼女はどんどんと不機嫌になっているらしく、声が最初のいらっしゃいよりトゲトゲしくなってきてなんだか心が痛い。
とはいえ、何の話かさっぱり分からない。
眉をひそめてみるが、肉体派の俺にはおよそ似つかわしくない表情だ。
「どんな女?」
ベッキーがカッとなって、俺のドリンクが入るはずのグラスを力強く置いた。
「心当たりないわけ?
絶対アレ過去の女だろ。」
過去の女!?
予想外のフレーズに頭を抱える。
「いや…俺はお…女とか…苦手で…」
しどろもどろに答えるが、みるみる血が頭に昇って熱くなる。
だが、ベッキーの血も昇ってしまったらしい。
「はあ!?なら私はなんなんだよ!」
唾でも飛んで来そうなくらい、ものすごい剣幕で怒鳴られた。
なぜか相当怒っている。
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