序章

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 その後、結構な時間彼女と熱く語り合ったおれは、残っていた授業を片付け帰路へ着いた。  と言っても、真っすぐ帰るようなことはしない。やはりあのホームレスらしき集団が気になる。  おれがその気になるホームレス集団を見かけたのはつい昨日――いや、時間的には日付が変わっていたから今日未明か――のことだ。  バイト先から自転車を走らせて帰宅している途中、雑草だけがごちゃごちゃと散らかる広い空き地の近くを通っている時だ。  その空き地の中に、ビニールシートと段ボールで積み上げたモノの近くに横幅の広いトラックのようなものが見えたような気がしたんだ。  いつも、というかそれまではそんな場違いな存在など無かったから、気になってしまっていたのだ。  それと、昔小学生くらいの頃に遊んでいた場所にわけの分からないものが侵入していることが気に食わないのだろう。  とにかくそのホームレスはともかく、あの不自然極まりない謎のトラックもどきの詳細が知りたかった。  年甲斐もなく興奮してしまっている自分がいるわけだが、そう思っている理由は分からなかった。  たまにあるだろう、無性に気になることとか  
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