4章

35/41

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「私ね、小学校入ってからずっとテストで100点以外取ったことなかったの」  まるで自慢話の種だが、今の彼女からそんな雰囲気は無くて、逆に悲しそうだった。 「国語も数学も何もかも、サラっと教科書やワークを斜め読みすれば内容を把握できた。最初のうちは両親も先生も、クラスの友達も褒めてくれてたの。凄いねって」  もう何となく分かる。この先が本題なのだと 「でも、クラスメートは急に怪しがったのよ。いくら頭がいいからって、全教科でいつも100点なんて怪しいってね。自分でも感じてはいたの、なんで100点しか取れないんだろうって。  だって、覚えがあやふやなものだってちゃんとあったはずなのに、返ってくればそこにも赤い丸がくっついてたんだから」 「うん、それで?」 「実際合ってたから良かったんだけど、問題はそっちじゃなかった。 よくあるとは思うけど、私にカンニングの疑いがかけられたわ」  そこで大きく息を吸い込んだ桃子は、恨みの言葉を紡ぐように喋り始めた。  
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加