4章

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「嫌味に聞こえちゃうかもしれないけど、勉強出来る人は必ずしも幸せにはなれないって思った。でもその勉強の出来不出来で人が振り分けられてしまう社会が、大嫌いになったの」 「そうか……桃子も、それなりに辛い思いをしたんだな」  私が呟くようにそう漏らすと、頭に手を置きながら桃子がポツリと 「百花よ、天城 百花(あまぎ ももか)。私の本名」  と、そう言った。 「――え」 「教えたくなったの。迷惑ってことは、ないでしょ?」  小さく微笑む桃子……いや百花の顔は、ついボーッと見つめてしまうほど魅力的だった。 「ありがとう、なんか楽になったかも」 「あんな話聞いて?」 「うん。あなたの苦しみに比べたら、私の悩みなんてただの僻み。ちっぽけなものよ」  私が苦笑しながらそう言うと、百花は 「聞かせて、フローラちゃんのその悩み。私も、フローラちゃんの抱えた苦しみを知りたい。話すだけでも、心は軽くなるものよ」  と言ってくれた。  
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