4章

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 1度大きく息を吸い込んだ私は、ゆっくり空気を吐き出しながら話しはじめた。 「ハンドルネームでみんなに名乗ったフローラ=テッサリーニっていう名前は、本名なの。戸籍や銀行の口座はこの国にはないから、別にそのままでもいいかなって。  で、私の実家はイタリアのミラノにあるの。世間的には没落したけど、地元の人にしてみれば有名な男爵家だったの。私はそこの娘」  ひとまとめに言った瞬間 「リーダーって、男爵家のご令嬢だったの?」  百花は大きな声を上げて驚いた。ずっと口が開きっぱなしだ。 「そうよ。でも特別大きな屋敷じゃなくて、古いマンションの部屋が住居だった。父はサラリーマンで母は専業主婦だったから、普通の生活を送っていたわ」 「そうなの。なぁんだ、執事さんとかメイドさん雇ってなかったの?」 「祖父が死ぬまではちゃんといたわよ。私もお世話してもらった覚えがあったけど、鬱陶しいだけ。で、祖父が死んだ途端私たちに媚びを売っていた連中は財産を毟り取り、運よく社会勉強中で就職していた父の腕で生きていたの」  よくあることなのだが、やはり日本で普通の生活を送っていた百花には、ドラマのパターンの1つにしか思えなかったんだろう。めっちゃ驚いた顔してる。  
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