5章

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――― ―― ― 「ダメだ……。今日も議会の席にカメラが入ってなかったぞ」 「自分たちの怠慢を隠すためだろ。くそ、余計なことに金を使ってばかりで」 「今ぼやいても仕方ない。とにかく今は、レジスタンスの元へ行って経過を報告するしかあるまい」  俺こと南が言葉を遮り、自分の仕事部屋へ2人を入れる。  俺達3人は多くの若手と結託して、国内の戦闘行為の鎮静化を上に訴えていた。  だが俺達若い議員の必死の呼びかけに対し、老齢の議員や内閣の諸大臣、更には総理大臣までもが一切耳を傾けなかった。彼らは国の中で大規模な戦闘行為が行われているにも関わらず、溜め込んだ金と愛人が大事らしい。 「あぁ、すまないが車を回してくれ。今すぐレジスタンスの基地に向かう」 「若い議員3人だけで言っても、ただ非難を受けに行くだけだろうな」  心底嫌そうに漏らす藤崎に対し 「それでも、国の未来を案じて立ち上がった彼らに敬意を表さねばならん」  林田が溜め息混じりに答える。そういえば俺含め3人とも、さっきからぼやいてばかりだな。  仕方ないと言いたいところだが、そうもいかない。 「車の準備が出来た。早く行こう」 「っと、その前に確認確認」 「やめろ藤崎、こんなところで聞かれたらどうする。車内でやれ」  藤崎がボイスレコーダーの内容を確認しようとしたのを林田が止め、俺達はレジスタンスの基地へと赴いた。  
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