序章

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「し、知らん。そんなものは今日未明にはここに来ておらん」 「そっすか……」  落ち武者ヘアーの額に光る汗が眩しいぜ。  見るからに嘘吐いてんだろって言いてえけど、相手は一応年上だ。それにホームレスだ。頭ごなしに問い詰めると3面記事にも成りかねん。 『地元の大学生、ホームレスに対し暴行。ホームレスの老人は意識不明の重体』  みたいな感じで。  あれ?おれ爺さんにひでえ暴行加えてません?そんなつもりないのになあ。  勝手に妄想だけが猛ダッシュしてるけど、さっさと話を進めましょ。 「じゃあさ、この草の倒れてるのは何なんすか?」 「ああ、輸送車が通った跡だ」  今何と?輸送車って言いましたか?とんでもないこと聞いちゃったよおい。 「輸送車?」 「あ、違う。輸送車なんかじゃないや、何だっつったけ。ダンプ……ミキサー車……コンテナ……?とにかくそんな感じの設定の車のはずだ」  設定って何だよ、しかも構想っつうかその設定すら固まってねえじゃねえの。どう考えてもどっかで口裏合わせるか誤魔化すようしたでしょ。  もうちょっとつつけば、ボロがでるかなあ?  
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