序章

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「おはよ。早朝からのゲームは楽しかった?」 「楽しくないわよ。あんまり休んでないはずなのに、あんたから出席を催促されたからね」  実際は、予想以上に魔王ルートへの引きずり度が高かったことにも起因するのだが 「それは悪かった。  あ、そんなことより見てよ」 「何?おぉふ……」  話題を変えて、ケータイを開いて画面を私に向けた蘭。そこには待ち受け画面があり、1人の男性の退屈そうな横顔が表示されていた。  彼女が密かに心寄せる1つ上の先輩、昴 幸助先輩だ。 「いつ撮ったの?下手したら盗撮よ、コレ」 「失敬なっ、そんなんじゃないわよ」  では何だと言うのだろう。この写真は明らかに、本人の知らない内に撮影された代物だ。表情と視線がそれを物語っている。 「これは、仲の良い写真部の友達がデジカメの試運転に撮ったのを貰ったの」 「つまり、隠し撮りしたのはあんたじゃなくてその友達ってわけね」 「何でそんなに盗撮に執着するのよ」  だって盗撮じゃん 「はっ、所詮アニメキャラが恋人のあんたには分からないわよ」  ンだとコラ、そんなんじゃないわ。初恋が土井先生なのは確かだけど  
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