序章

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「もう時間なのに、まだ来ないの」 「待ち合わせでもしてるわけ?」  定食の味噌汁を啜る私がそう尋ねると、彼女はブンブンと首を縦に振った。  ここまでこの娘が真剣になるってことは、間違いなく昴先輩絡みね。  溜め息混じりに食堂の入り口をチラ見すると、噂をすれば何とやら。蘭の想い人であるその人物が友人と共にこちらへ歩いてきた。食券より先に席を確保するつもりらしい。 「あっ、いたいた。幸助こっち」 「そっちって、はいはい……」  何かテンションの高めな昴先輩の友人、海藤 司(かいどう つかさ)先輩はニコニコと笑いながら昴先輩を導き、向かい合って座る私たちの右側に座った。  勿論蘭の隣は昴先輩、従って私の隣は海藤先輩だ。 「実はさ、一緒に飯食おうって約束してたんだよ」 「そうなのか?ゴメンね2人とも、この色欲魔が」  色欲魔て…… 「いいえ、私の方からお願いしたんです。海藤先輩は悪くありません」 「口裏を合わせさせるとは、手の込んだ下衆だな」  昴先輩、あなたは友達を何だと思っているんですか?隣だから分かりますけど、若干涙目入ってますよ。  
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