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「ソンナンジャナイモン」
「そうかい。じゃあ食券買ってくる」
終始不機嫌そうな表情をしていた昴先輩は立ち上がり、蘭とまともに会話することなく行ってしまった。
「何あの態度、丸っきり私らのこと迷惑そうにしてんじゃん」
「そうじゃないよ。あいつの表情を読むのは難しいから分からないだろうけど、あれで疲れてんだよ」
私が呆れ調にぼやくと、隣の海藤先輩は涙をこっそり拭きながら私にそう言った。
「それとゴメンね。無理矢理一緒に食事することになっちゃって」
「いいえ、私は構いませんけど」
「問題はあっちの2人だな……」
食券を買いに行った昴先輩をガン見している蘭を見て、海藤先輩は呟いた。
それは同感だ。こんな状況でいい雰囲気っつうか空気になるはずがない。
「あれれ、食べててよかったのに」
「一緒に食べ始めたかったんです!」
「……そうですか」
トレイに日替わり定食を乗せて戻ってきた昴先輩の言葉を瞬時に返した蘭に、先輩は多少引いている様子だ。
こりゃダメだ。
私は思わず嘆息してしまったが、おそらく海藤先輩も内心嘆息しただろう。きっと蘭の暴走しっぱなしで時は過ぎるに違いない。
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