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「さて」
授業の無い時間を縫って課題のレポートを書き上げたわけだが、ずっと心に引っ掛かる案件があった。
それは昨日、深夜まで続いてしまったバイトの帰りに見たあの変な光景だ。あれは一体何だったんだろうか?
「あ、昴先輩」
いきなり声をかけられて肩が跳ねそうだったが、何とか抑える。そんでもって振り返ると、さっき斜め前の席で食事をしていた後輩の女の子が立っていた。
「ああ、さっきの……」
「小笠原 里実(おがさわら さとみ)と言います」
「そう。さっきはケンの我が儘であぁなっちゃって、ゴメンね」
あだ名で言っちゃったけど、その辺は分かっていただけたようだ。そんな顔してる。でも
「あの、あれは海藤先輩の我が儘なんかじゃないです。それは本当です」
なんて言ってきた。
何か良く分からないけど、ケンを擁護するってことは、あれは奴1人の暴走じゃないってことか。
「そうなのか?」
「はい。涙目になるまで先輩が疑っていたので、これだけは誤解させないでおこうと」
「はぁ」
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