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**************「やべぇ」
リンスは桜並木を猛ダッシュしていた。盛大に咲いている花を観賞している暇など一秒たりともない。腕時計を見るとこのままただ走り続けていては100%間に合わない時間帯になっていた。
なぜこんなことになっているかって?
こっちが聞きたいぐらいだよ。ただ道に迷っていたおばあちゃんを案内していただけたのに……いきなり自警団に訳わからなく追いかけられるし、額は少なかったが財布を落としたりと散々な目にあった。
しかし、後悔したってお金や時間が返ってくるわけではないので開き直って……みようとするが、俺はそんなプラス思考の持ち主ではない。傷をずるずると引きずりながら今はひたすら走る。
入学初日から遅刻という目立つような行為は絶対にしたくなかった。
だって、何かと目をつけられるではないか。そんな窮屈な生活は勘弁だ。
リンスは奥の手を使うことにした。
足に気を集中させる……
「体内活気;光斷」
リンスの足に集まっていた気が細胞を活性化させ、一時的に運動量を底上げした。
もの凄いスピードを生み出しているその足で新生活にいろいろな不安を抱えながらも学校へと向かった。
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