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† 羅刹side
躯が軽くなった。
そんな感覚で目が覚めた。
何が変わったのか理解出来ない。
寝惚けているだけなのかな?
何だろう?
「「おはよう」」
蛇狼と白火が声を揃えて顔を覗かせる。
「おはよ!!」
それを合図に寝心地の良い布団から飛び起きると、掛け布団に乗って居た黒と白のが宙を舞う。
「「ひゃあーー……」」
声を揃えて叫ぶ二人が面白くて大笑い。
いつもと変わらない朝だ。
安心して、朝ご飯を作る為に台所に走った。
と、台所に先客が居た。
「父ちゃん?」
呼ぶと、こちらを振り向くこと無く「おはよう」と言われたので、「おはよー」と返す。
「朝ご飯、今日は俺が作るから、ゆっくりすると良い」
珍しい。
こんな事、……母ちゃんが居なくなってから初めてだ。
父ちゃんは母ちゃんのよく居た場所には近付かなかった。
けど、墓にはよく行ってた。
父ちゃんの後ろ姿。
何だか違って見える。
「羅刹……」
「ん?」
「すまなかった」
え? 何が? と、訊く事も出来ずに固まる。
「羅刹は幸せかい?」
変な事を訊く父ちゃん。
「幸せに決まってるじゃん」
思わず父ちゃんの背中に飛び付いた。つもりだった。
けど、気付いたら、あったかい温もりに包まれてた。
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