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† 元気side
羅刹が、幸せだと笑った。
抱き締めたままだから表情は見えない。
だけど、どんな笑顔かは想像出来る。
常に羅刹は俺に笑顔を向ける。
それが、まるで義務の様に……。
俺は、空羅寿の事柄の全てを、羅刹にぶつけていた。
それは、無意識に。
ぶつけるなんて、可愛いもんじゃない。
下手をすれば、羅刹は死んでいたかもしれない。
今更、だが、心底恐ろしくなった。
赤ん坊だった羅刹。
俺の為の扉を造ってくれた幼女の羅刹。
...
成長していく過程で俺の娘に成った羅刹。
なのに、あの時の俺は、俺には……羅刹は、白蛇で在った鬼女にしか見えていなかった。
空羅寿を失うのは、全てが、羅刹のせいだと。
気付けば、鬼の血が朱色に染まるのを感じた。
留まるどころか、それに身を任せた。
その方がココロが楽だったから……。
簡単に、朱色に染まる血。
..
それは、恍惚として、人間の気持ちなど、どうでもいいと……自分の殻に閉じ籠った。
そんな俺を、俺のココロを留まらせたのが、羅刹だった。と
否、或いは、救いを求めたのは俺だったのかもしれない。
まだ子どもだった羅刹が、自ら鬼に成り、その血を持って俺の理性を留まらせた。
ココロを繋いで……。
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