鬼のゆくえ

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  「すまなかった」呟く様に謝り、羅刹から離れ様と身を起こす。が、 「父ちゃん? 居なくならないでっ」 小さく叫んだ羅刹が抱き着いて来た。 その華奢な体が震えて居る。 桃太郎に言われた事は、解っていた。 羅刹のココロの底に隠された想いも。 だからかもしれない。それだから余計に羅刹のココロも、俺と繋がる事で、彼女自身も理性を保って居た。   「「羅刹?」」 羅刹の、二人の守護者が彼女を呼んだ。 俺から羅刹を護って来た白と黒の蛇。   彼らは羅刹のココロを護ってくれて居た。   「居なくならないよ」 幼い子どもに言って聞かす様にはっきりと安心させるつもりで言葉を紡ぐ。 「俺は羅刹の父ちゃんだからな」 それは当たり前の関係を、 「うん。“父ちゃん”だもんね」 彼女は笑みを顔に張り付けて、当然だと言い返した。   ズキリと、ココロが痛んだ。   それが人間だと再確認した様に安堵する。 羅刹は皆を起こしに駆け出して、俺の腕に残った温かみは、目を瞑る事でかき消した。   俺がしてやれるのは、羅刹の幸せを見護って行く事。 俺のこれからは懺悔と子ども達の行く末を見護る事。   今まで目を背けて居た分を、今度は全力で見開いて、羅刹と結歌と結愛を大切に護って行く。   桃太郎から再生のチャンスを貰ったんだ。 桃太郎しか出来なかった事。  
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