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樹利亜にも、龍太郎兄さんにも、
今まで羅刹以外の誰にも触れさせなかった朱色の部分を、桃太郎は力ずくではなく、自然とやってのけた。
俺が受け入れたのかもしれないが、桃太郎の力が俺を上回っていたからかもしれない。
底知れない“鬼力”を感じた。
逆らえない、そう言った諦めもあった。
俺の中の鬼の血を桃太郎は自身の鬼の血を俺に注ぎながら、“朱色の血”のみを押し出した。そんなやり方は知らなかったが、鬼のままで居させてくれたのだと感じた。
桃太郎の千里眼がどこまでを視せたのか俺には視えなかった。
だが、何かを悟った瞳をしていた。
そして、前世を知ったとはっきりと言った。何かを求めて転生して来たと……。
そして、羅刹への想いの欠片を感じた。
思えば羅刹も、生まれたばかりの桃太郎を見て何かを感じた様子だった。
二人は運命で繋がって居るのかもしれない。
ズキリと、また胸が痛んだ。
桃太郎が宗寿だった事実に今更動揺しているのか……羅刹を……。
否、否定してみても、今の俺のココロを占めるのは、空羅寿だけじゃないと解っている。
解ってしまった。と、言うべきか。
だが、優先すべきはこれからの子ども達だと、空羅寿を亡くしてから初めて思えたのだ。
未来を考える事が出来る。
これこそが空羅寿が望んでいた事なのだと。
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