鬼のゆくえ

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  恋をする。 興味がなかった訳でなく、そう言った相手が今まで居なかっただけ。   宗寿も同じだった。 それは閉鎖的な時代に更に閉鎖的な場所で生きて居たから。   俺は、自由に生きて居る。 だけど、気持ちなんて思う程自分の自由に出来ないって知ってる。 “恋”なんて、しようと思って出来るもんじゃない。って。 不二丸だって、 恋をする=俺を好きになる。 なんて、考えもしてなかった筈だ。 俺だって、羅刹はただの従姉妹で、女として意識なんてしてなかった。   手の中の血珠を握り直す。 知らなかった新たな真実。 これはただの人間には意味はないけど、超能力者には鬼に成る薬みたいなもの。 それを知る者には“特効薬”になる。 能力に目覚めてなくても、鬼の血を持つ者のココロが、悲しみなり、憎しみなりに押し潰されると鬼の血が変化し凶暴化する。 変化した血液はガン細胞の様に増殖し、侵された人間は“悪鬼”と成る。   角の無い悪鬼。 朱色の鬼。   それらを退治しているのが、俺の家族……市松組。 鬼の血を受け継ぐ者たち。   鬼を受け入れた人間の子孫。 そもそも、何故人間は鬼を受け入れたんだ?    
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