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龍聖がナイフを構え塚原に突進しようとした、その時、ビルの入り口から複数の足音が聴こえた。
龍聖の神経が入り口に向いた瞬間塚原の拳が龍聖の頬に入った。
龍聖が床に尻餅をついた。龍聖の正面、塚原の背後に大勢の黒スーツやスポーツジャージ姿の男達が現れた。
次々と入ってくる男達。50人を超えるほどの大人数。皆共通して強面だ。中には顔に大きな傷を持つ者まで居る。
そんな集団の後ろから高級そうなグレーのスーツを着けた男がゆっくりとした足取りで登場した。オールバックに髪をなでつけ、体はでっぷりと太い。冬だというのに真っ黒に日焼けしている。歳は50のどこかだろう。
男は龍聖と塚原に相変わらずゆっくりとした足取りで近づく。男の上着の胸の部分には金バッチがついている。
龍聖が立ち上がり、傍まできた男に言った。
(龍聖)
「これはこれは。大嶺組の谷山さんやないですか。こんな大所帯で突然やってきて。一体どうしました?」
谷山と呼ばれた男は険しい表情で龍聖を見た。浅く息を吐いた後、
(谷山)
「龍聖。お前、うちのシマ内でシャブを捌いとるらしいのぉ」
谷山の声は掠れていたがどこか異様な迫力に満ちていた。
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