第一話~ピンクウサギができるまで(キラリ編)

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とあるビルの一室… たくさん並べられたパイプ椅子にはまだあどけなさが残る若者達が座っている。 その前には長机があり3人の眼光鋭い男が座っている。 「ハイどーも!ジャガ芋男爵です~」 呼吸をする事さえ困難に感じてしまうこの空間…此処はお笑いプロダクション「越本興業」の養成所「越本芸能学院(KGS)」の面接会場。 今、面接試験を受けているのは今回で5回目の受験となる「ジャガ芋男爵」の野口宏康と佐藤輝男だ。 (佐藤) 「野口君~、聞いてくれよぉ…俺、実は宇宙人なんだよぉ」 (野口) 「なにくだらない嘘言ってんだ!そんなわけないだろ!」 (佐藤) 「馬鹿にしたなぁ~、マイクロチップ埋め込んじゃうぞっ!てかマイクロっちゃうぞ!」 (野口) 「なんでそこ略すんだよ!意味わかんねえし!」 必死に漫才をする彼らの額に光る玉のような汗がこの場の空気の重苦しさを物語っている。 漫才をする彼らの眼前にはえぐるような視線で見つめる面接官。 そして背後には緊張して蝋人形のように固まる芸人志望の若者達。 普通の精神状態で漫才などできるわけがない。
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