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龍聖がタバコをくわえると、一番手前の手下がライターを出し龍聖の口元に火を差し出した。
龍聖は深く息を吸い込み、濃い煙を吐き出した。
(龍聖)
「で、どうや?俺の下で働く気になったか?」
塚原は鋭い刃のような形状の眼で龍聖を睨みつけた。
(塚原)
「質問に答えろや。マンションに火をつけたんはお前か?」
龍聖は顔を横に向けて「ククク」と笑った。
(龍聖)
「塚原君。そんな小さい事にこだわって……事態が、もひとつわかってないみたいやな」
塚原の眉毛がピクリと動く。
(塚原)
「なに、小さい事やと」
龍聖は塚原を見た。
(龍聖)
「俺の下で働くか働かへんか、それはつまり、生きていたいのか死にたいのかって俺はさっきから聞いとんねや」
言った後、龍聖の茶色い瞳に狂気の光が宿る。
塚原はコンクリートが剥き出しの天井を仰ぎ見た。一瞬、相田と三浦の顔が頭によぎる。
二人の顔を頭から掻き消し、塚原は深く息を吸い込んだ。
(塚原)
「おぁぁぁぁぁーー!!!!」
獣の咆哮の如く雄叫びと共に一気に息を吐き出す。そして、真っ直ぐ龍聖に突進していった。
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