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(龍聖)
「なるほど。それでこそ塚原一平や」
椅子に座ったまま龍聖は余裕の笑みを浮かべた。
突進する塚原に20人近い龍聖の手下が一斉に襲いかかる。塚原は突進するスピードを緩めない。先頭の1人を殴りつけた。後ろからきた男の鼻に肘を叩き込んだ。
龍聖まで一直線に進もうと、塚原は目の前に迫る男達を殴り、蹴りなんとか道を作ろうとする。
数人から拳が飛んできて何度も塚原を捕らえる。頭を殴られ意識が飛びそうになる。負傷している脇腹が火のように熱い。
塚原は止まらなかった。その勢いは凄まじい。まるでブレーキの壊れたダンプカーのようだった。
何発殴られて、何人殴り倒したかなんてわからない。少しずつだが大勢の後ろに控える龍聖の姿が見えてきた。
しかし、多勢に無勢。1人対20人。どちらが有利かなんて、簡単な算数だ。
「囲め!!後ろから塚原押さえつけろ!!」
20人の中から飛び出した声と同時に塚原の首と両手が4人がかりでしっかりロックされた。
塚原の正面には数人の血に飢えた獣が気味の悪い笑顔で指を鳴らしている。
その隙間からパイプ椅子に座ったまま手を前で組む龍聖の姿が見えた。
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