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(龍聖)
「残念や。非常に残念や」
龍聖は心底つまらなさそうにそう言った。
(龍聖)
「俺の手足にならんのやったら、俺にとって君はただの邪魔者や」
塚原は龍聖に向かおうと体をよじらせる。しかし、体をロックする8本の腕は離れなかった。
龍聖はタバコを床に捨て、踏み消す。ビニールが焼ける臭いがその場に立ち込めた。龍聖はやがて、冷ややかに「殺せ」と言った。
同時に塚原の腹に拳が突き上げられる。
「グハァ!!」と唸った後、塚原の口から血混じりの胃液が吹き出した。
龍聖の手下達は口々に愉快そうに言った。
「今まで散々やられてきたからなぁ。楽には殺さんからな」
「なんやったらナイフであちこち切り刻んでなぶり殺しにするかぁ」
「体中の骨っちゅう骨へし折ってクラゲみたいにしてまうんはどうや?」
龍聖の手下達からどっと笑いが起きる。塚原は心底悔しかった。
殺されるのは怖くない。しかし、龍聖に指一本触れる事なく死んでいく事がたまらなく悔しかった。
塚原の奥歯がギリギリと音を立てる。そんな塚原の前にナイフを持って薄ら笑いを浮かべる男が立つ。
「どっから切ろうかな♪」
男がナイフを塚原の頬に当てた。
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