110人が本棚に入れています
本棚に追加
「兄貴ぃぃ!塚原兄貴ぃーー!!」
入り口から聴こえる壁に共鳴する大声。龍聖達が入り口方向を見た。
頬をナイフで切られ、血を流す塚原が呟く。
(塚原)
「まさか……まさか……」
入り口に視線をやった龍聖が嬉しそうな笑顔を浮かべた。
(龍聖)
「おぉ!君は確か、夢見る好青年、三浦君やないかぁ」
入り口付近に現れた三浦は手に角材を持ち、荒く呼吸しながら龍聖達をじっと見据えた。
ボロボロになって押さえられている塚原に三浦は気づいた。
(三浦)
「兄貴ぃ!」
龍聖がパイプ椅子から立ち上がる。
(龍聖)
「なんやなんや。物騒な物持って」
龍聖が三浦に近づいていく。その距離が五メートル程になったところで、三浦は角材を龍聖につき出した。
龍聖はおどけるように両手を開き、口笛を吹いた。
(三浦)
「……塚原兄貴を……連れて帰る……」
三浦は声を震わせながら龍聖を見据えた。
塚原は必死に体をよじり、あらんかぎり大きな声で叫んだ。
(塚原)
「三浦やめろ!!お前には関係ない!!帰れ!!」
龍聖が耳をほじりながら下を向いた。
最初のコメントを投稿しよう!