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角材を振り下ろした格好で三浦は硬直した。
龍聖は酔っぱらいのようによろめく。「とっ、とっ、とっと」と声を出しながら、やがて静止して、三浦の方へ顔を向けた。額から鼻にかけて二股に血が流れている。
龍聖は自らの額を触り掌に着いた血を暫し眺めた後、
(龍聖)
「あかんなぁ。あかんあかん。全然あかん!!」
言いながら龍聖は三浦との距離を詰めていく。
(塚原)
「三浦逃げぇぇ!」
塚原が叫ぶも三浦は動けない。手に持つ角材は鉛でも入っているかのように重かった。
龍聖が角材に手をかけた。
(龍聖)
「さっきの一撃迷いがあったなぁ。三浦君。人を殺る時は迷たらあかん。何にも考えんと思いきりやるねん」
龍聖が三浦の手から角材を奪った。
(龍聖)
「こんな風に」
龍聖が角材を三浦の頭に振り下ろした。「バキィーー!!」という衝撃音が響く。
(塚原)
「三浦ぁぁぁぁぁ!!!!」
壁に塚原の叫びが共鳴する中、三浦は頭から落ちるように床に倒れた。
床に倒れた三浦を一瞥した後、龍聖は踵を返し、歩き始めた。
一歩動いた後、龍聖の足が止まる。
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