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床に這いつくばる三浦が龍聖の足首を掴んでいた。
龍聖が「ホウ」と感心したような表情で呟いた。
三浦の顔は潰れたトマトのように赤く染まっている。
(三浦)
「……塚原兄貴と一緒にここを出て越本行くねん……」
(塚原)
「龍聖、もうやめてくれ!!」
塚原の声を聴いた三浦はうっすらと微笑んで、力の限り叫んだ。
(三浦)
「俺は兄貴に夢を追いかける事の素晴らしさを知ってほしいねんーー!!」
龍聖は目頭を押さえて上を向いた。
(龍聖)
「泣かせるなぁ。友に夢の素晴らしさを教える為に体を張る。そんなんて……」
龍聖が足元の三浦を見た。そして掴まれている足を思いっきり後ろに引いた。
(龍聖)
「虫酸が走る」
龍聖のつま先が三浦の頬骨にめり込む。三浦は地面を転がった。
塚原が激しくもがく。しかし、龍聖の手下達はより強く塚原を押さえつけた。
龍聖が三浦に近づいていく。龍聖は三浦の前髪を掴み顔を上げさせた。
先程蹴った頬骨を指で撫でた。やがて撫でる指に力を込めて砕けた頬骨を万力で絞めるかのように掴み上げた。
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