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(龍聖)
「お前ら止まれ!!」
龍聖が三浦から手を離して、大声を挙げる。塚原と格闘中だった全員の動きが止まった。
龍聖はコートを脱ぎ捨て、青色のワイシャツ姿になった。塚原にゆっくりと歩み寄る。
塚原と龍聖。二人が向かい合う形で対峙する。
(龍聖)
「塚原君、さっきと雰囲気が違うやないか」
龍聖は言って倒れている三浦に親指を向けた。
(龍聖)
「あれが原因か?まさか、夢や希望、そんなものに目覚めたんとちゃうやろな?」
(塚原)
「一つだけ、わかったんや」
塚原は言って笑みを浮かべた。
(塚原)
「三浦の方がずっと根性ある。龍聖、お前は太陽の下を歩くんが怖いんや!だからずっと日陰に居る、根性なしのタマナシ野郎やってなぁ」
龍聖の目が据わった。
(龍聖)
「残念やなぁ……ホンマに残念や……俺みたいになれる唯一の男やと思っとったのに」
龍聖は寂しそうに呟いた。
(龍聖)
「一度は俺が見込んだ男や。最後は俺自ら甘っちょろい幻想を潰してもたる!!」
龍聖が踏み込むと同時に右拳を塚原の顔面に向けてつき出した。塚原は避けもせず、それを顔面で受け止めた。
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